大川小津波訴訟判決がおかしい?控訴の争点をわかりやすく解説!

大川小津波訴訟イメージ

2011年3月11日に起きた東日本大震災から早5年半の月日が経ち、津波で児童74人と教職員10人が亡くなった宮城県石巻市立大川小学校の非難指示を巡る訴訟(大川小津波訴訟)に対し、遺族側が14億円を勝ち取るという判決がニュースで報じられていました。

この大川小津波訴訟の判決がおかしいとして、過失が認められてしまった市と県が高裁に控訴する意向を示したのですが、この控訴に対して遺族がなんと控訴阻止の運動を始めたのです。 しかし、この控訴阻止運動が物議を醸し出し、追い風となっていた遺族側の同情の声がなにやらおかしな方向に…。

いろいろとおかしい様相を呈してきた大川小津波訴訟ですが、今回はこの問題がどのような状況になってきているのか整理する意味を込めて、初心者にもわかりやすいようにまとめてみたいと思います。

大川小津波訴訟の判決がおかしい?

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2016年10月26日、東日本大震災により大川小学校に避難し亡くなった児童74人の遺族(一部)が、学校管理下においての不適切な避難指示による過失死だとして市と県を相手に損害賠償を求めた裁判で勝訴したというニュースが流れていました。

いま、この判決がおかしいんじゃないか?ということが様々なところで話題になっているのですが、いわゆるこの大川小津波訴訟判決の何がおかしいのか、まずはわかりやすくまとめてみましょう。

提訴していたのは大川小学校の23人の児童の遺族19家族。 仙台地裁(高宮健二裁判長)が学校側の過失を一部認め、14億2600万円あまりの損害賠償を命じたとのこと。 この大川小津波訴訟の判決については、当時、大川小学校で児童たちを管理していた教職員の避難指示が『不適切だった』として過失を認められたことになるので、この判決結果は、人によってかなり受け取り方が変わってくるでしょう。

大川小児童の避難経路図(大川小学校児童の避難経路)

ではなぜ、この判決がおかしいという話が出てくるのか?

遺族側は、学校の裏山に上るように避難指示をしていれば子供の命は助かっていたと主張。 そして、地震発生後、約45分間もグラウンドで待機させていた愚鈍さや、津波警報が出ていたのにも関わらず、その後、校庭より約6メートル高い北上川に架かる橋のたもとへ避難をはじめ、津波に巻き込まれたことについて指摘し、大川小学校の教職員を管理している石巻市や宮城県を相手に損害賠償を求めていました。

遺族側の主張をまとめると以下の通り。

  • 教員らは広報車の避難呼びかけで津波の予見ができたはず。
  • 堤防付近への避難は不適当。
  • 裏山に避難させなかったのは明らかに過失である。

たしかに、結果を見れば、学校の裏山に上っていれば生存率は相当変わってくるのですが、まずここで『これは結果論に過ぎない』と見る人が少なくないということ。

そして次に、自然災害時に避難指示の不手際があれば、学校や福祉などの公共施設を運営している地方自治体や国が、税金で多額の賠償責任を負うという判例ができるということです。

 

もちろん、国に損害賠償を求めることが悪いとは言いませんし、場合によっては、国の安全管理や安全教育の強化につながる良い教訓となる場合もあるでしょう。 しかし、これは損害賠償を行なった19世帯の遺族への賠償金であり、少なくとも世界的にも稀有な地震による大津波に対して、当時、適切に対応できず同様に亡くなった10人の教職員を思うと、色々と考えさせられるところです。

遺族の控訴阻止はもっとおかしい?

大川小学校上空写真(大川小学校を上空から)

すると、次は市と国がこの判決を不服として、高裁に控訴する意向を示しました。

これには遺族側が猛反発。

なんと横断幕やらマスメディアやらを持ち出して控訴阻止を働きかけてきたのです。 当然のことながら、控訴自体はまったく問題なく、棄却されなければそのまま高裁で裁判のやり直しとなるのですが、この遺族の行動が話をおかしい方向へ持っていくことになります。

大人(教職員)の指示に従わざるを得なかった子供たちの状況を考えると、世間も『遺族の気持ちを考えれば…』という風潮が強かったのですが、その遺族側のなりふり構わぬ控訴阻止に対して疑問を持つ人が増えてきたのです。 すると、先ほど裁判時に争点となっていた『適切な避難指示』に対する論争に火がつき、このように控訴阻止を行なった遺族側に対して暗雲が立ち込めくるようになってきました。

大川小津波訴訟、遺族の横断幕大川小津波訴訟、遺族の横断幕(大川小津波訴訟遺族側の横断幕)

客観的にこの大川小津波訴訟の控訴阻止を見ていると、やはりあの横断幕は怖い印象を与えてしまっているような気がします。 なぜなら、死亡した中には教職員の方も10人いるからで、控訴阻止の時の『先生の言うことを聞いていたのに』という横断幕や、地裁判決時の『学校・先生を断罪』という文言に違和感を抱いた人は少なくないでしょう。

もちろん、子供を亡くした遺族の気持ちを考えると当然のことで、そこに同情の意を持つ人は大勢いると思います。 しかし、上級裁判所による再審査を求める控訴は当然の権利であり、市議に議案の反対を呼びかけたり、個別に働きかけを申し合わせるなど、控訴阻止する行動に対して少し疑問を持つ人が多かったみたいですが、結果的に、宮城県知事は『(当時)教員はベストを尽くしていた。断罪という言い方は受け入れられない』として、議会の賛成多数を受け、石巻市と足並みをそろえたうえで控訴する方針とのこと。

では、次に大川小津波訴訟の争点についてみていきましょう。

大川小津波訴訟の控訴について争点をわかりやすく!

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大川小津波訴訟の地裁での判決は、県や市に対して過失を認める形となりましたが、どうやら控訴にて高裁での争いになりそうです。 そして、これからどうなるのか注目が集まるところですが、自然災害は予測ができないだけに難しいところです。

特にネットでは色々な意見が出て議論が巻き起こっているので、ここで大川小津波訴訟の争点についてわかりやすく振り返ってみましょう。

【津波到達の予見可能性】

遺族側の主張
大川章が震災前年に改定した危機管理マニュアルには、津波の到来を念頭に置いていた。 防災無線や市広報車、保護者からの情報で津波の襲来を認識できた。

市と県側の主張
大川小は市の浸水予想区域外で、過去、この地区まで津波が到達した記録はない。当時得られた情報から想定を超える規模の津波は予測できなかった。

 

【震災当日の避難行動】

遺族側の主張
適切な情報収集や分析をせず、約45分間、児童を校庭に待機させた。津波の襲来直前、(津波が来る方向の)北上川の堤防道路へ向かったのは、教職員の重大な過失だ。

市と県側の主張
裏山は崩壊や倒木の恐れがあった。長年居住する地域住民も多数犠牲になっている。区長を含む住民と競技し、北上川の堤防道路に向かう判断をしたこと自体が過失とはいえない。

 

【結果回避義務違反の有無】

遺族側の主張
裏山やスクールバスなど被災を回避する手段は十分にあり、全児童を津波から救うことができた。

市と県側の主張
津波を予見してから襲来までの間に安全な場所に移動することは極めて困難で、結果は回避できなかった。

【関連記事】
大川小学校裁判の原告はモンスター家族か?金目当てと言われる理由

これは難しい問題ですね。 確かに今回の地裁の判決をおかしいと考える人がいても不思議ではありませんし、正当な判決と言えばそんな感じもします。 邪推ですが、そこに14億という多額の賠償金がからんでいなければ、遺族の主張はそのまま通っていたかもしれませんね。

愛する家族を失った遺族を思えば、簡単に引き下がることはできないところですが、そこが少し問題をわかりにくくしているところがあるのではないでしょうか? 大川小津波訴訟がどのように解決するかどうか、今後も注目が集まるところです。

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8 Responses to “大川小津波訴訟判決がおかしい?控訴の争点をわかりやすく解説!”

  1. 山内眷司 より:

    学校の先生が可哀想。ありえないことが起こったのだから、判断に迷うのは当たり前の話、神様じゃないんだから。そこまで言えば被害者一同が裁判を起こせば勝つということになるのではありませんか。もとよりそんなことはありえません。子供が可哀想ということは通らないと思います。天災の前には差別はありません。残酷なようですが少しは辛抱とか、あきらめも必要ではありませんか。明らかに1審の誤った判断だったと思います。

  2. 高橋哲也 より:

    被害者一同からすれば我が子が亡くなった悲しみ、辛さ、そういった感情をどこかにぶつけずにはいられなかった。結果としてその手段が裁判という形になったのではないかと思う。当事者ではないものが被害者一同をモンスター家族と決め付けるのは如何なものか。しかし一方で責任を学校や市に取らせるのも違うと思う。あの時10mを超える津波が来ると予測できた人がどれだけいたか。ゼロとは言わないがほとんどいなかったと思われます。私も宮城県在住ですが東日本大震災から遡る事30年ほど前に宮城県沖地震が発生しました。その時は震度6強で津波は30cm程度だったのです。その経験もあって今回もせいぜい1m位だろう、多くの人は同様に考えたのではないでしょうか。10m超の津波は誰も経験していないのですから。それを予見できたはずだということに無理が有ると思います。裁判による賠償ではなく震災遺族には特別保障金のような制度があれば良いのではないでしょうか。

  3. 大内さん より:

    これ仮に3mの津波でもなくなってるよね
    子供たち

  4. 山元77 より:

    自然災害時の管理責任の免責を認めると言うことは、自然災害時の管理はデタラメでも責任は追求されないということです
    法はそのようなことは予定していません
    自然災害時であっても管理者としての過失が認められるのであれば責任があるとするのが現在の法律です
    そしてこの判決では15時30分頃までは「ここまで津波は来ることはないだろう」という認識でも問題があるとは言えないと言っています
    広報車からの「津波が松原を超えてきた 逃げろ」との警告情報を入手したにもかかわらず
    その後に適切な回避措置を講じなかったことを過失としているのです
    大きな津波が学校へ向かっているということを知った後の責任が問われているのです
    3.11までは誰もあんな大きな津波がくるとは思っていなかった
    教師の判断は、当時の認識を基準にするとしょうがなかった
    だから教師の責任が問われるのはおかしい
    このような主張は的外れと言わざるを得ません

  5. くり より:

    もし、このニュースに関心がおありなら、
    「あのとき大川小学校で何が起きたのか」を是非読んで下さい。

    ほんとうに酷い話です。
    裁判では言い尽くせない話が沢山ありました。

    事故を見にも来なかった校長先生、指示されたことしか話さずお辞めになったA教諭。
    誰も何もしてくれないので、遺体を一体一体拾い上げた村民。

    今回の裁判の争点は、教師の避難指示一点のみでしたが。
    父兄は本当は、校長とA教諭の真実の説明が聞きたかったのだと思います。
    船長には最後に逃げなければいけない責任があるけど、学校にはそういう規則がないとはおかしな話です。

    • 関係者の方ですか? より:

      >事故を見にも来なかった校長先生、
      事情はありました

      >指示されたことしか話さずお辞めになったA教諭。
      氏の 自殺 をお望みとしか?
      事情にお詳しいようなのでお伺いしますが、「溺れかけた」と述べていた
      ただ一人の生き残りの先生が 服は濡れていなかった との談は
      何方がいつ語ったのか? 複数の証言なのかご存知ではないでしょうか?

      >誰も何もしてくれないので、遺体を一体一体拾い上げた村民。
      津波の被害は 大川小学校 だけ ではなかったのでは?

  6. 関係者の方ですか? より:

    (やはり追記しておきます)
    >父兄は本当は、校長とA教諭の真実の説明が聞きたかったのだと思います。

    ただ糾弾と 自称遺族 が訴訟に勝つための根拠としてでしょうか?

    >船長には最後に逃げなければいけない責任があるけど、学校にはそういう規則がないとはおかしな話です。

    無責任な野次馬は 全くの他責で 言いたいことを言うようで
    亡くなった10人の教師の皆さんに言えるのかな?

    • 関係者の方ですか? より:

      >校長とA教諭の真実の説明が聞きたかったのだと思います。

        真実  (失笑

       現実には 自分の都合の良い 金銭目的の 証言としか望まないのでしょうね

      こういう 屑 が湧く時点で 訴訟した方々 以外の 

      遺族の方々に深く 亡くなったご子息の 冥福 を

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