ヤマトがアマゾンから撤退したらどうなる?問題をわかりやすく解説

クロネコヤマトの宅急便ロゴ

アマゾンの無料配送がネット通販を急速に拡大させたことで、アマゾンと宅配契約を結んでいるヤマト運輸が悲鳴を上げています。

2016年末よりヤマト運輸が抱えた様々な問題がよくニュースになっていますが、ポイントをわかりやすくまとめると以下の通り。

  • アマゾンからの荷物が多すぎて業務圧迫
  • ヤマト運輸、従業員残業代未払い
  • 配送時間帯の削減
  • 配送料の全面値上げ

現在、ヤマト運輸が抱えている問題の発端がアマゾンからの荷物が増えすぎたことから派生しているので、『このままだとヤマト運輸がアマゾンから撤退するかもしれない』という噂まで出ています。

今回は、このヤマト問題についてわかりやすく解説していきましょう。

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ヤマト問題をわかりやすく解説

2017年3月7日、ヤマト運輸が9月末までに宅配便の基本運賃を引き上げる方針を固めたと報じていました。

これは日本経済新聞がヤマト運輸・長尾裕社長への取材で明らかになったそうですが、消費税増税時などを含めずに考えるとヤマトが配送運賃を値上げするのは27年ぶりとのこと。

さて、その背景にはどのようなことがあったのでしょうか?

ヤマト、27年ぶりに値上げするニュース

まず大手インターネット通販会社『アマゾン(Amazon)』の存在が欠かせません。

元々、アマゾンは佐川急便と取引があったのですが、急成長するアマゾンとの値上げ交渉が折り合わず、2014年に佐川急便はアマゾンとの取引を中止に…。その結果、お鉢が回ってきたのがヤマト運輸だったのです。

 

『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』という本の中で、当時、アマゾンとの交渉を担当していた佐川急便の営業マンの弁に次のようなことが書かれてありました。

うちが当時、受け取っていた運賃が仮に270円だったとすれば、それを20円ほど上げてほしいという腹積もりで交渉に臨みました。

けれど、アマゾンは、宅配便の運賃をさらに下げ、しかもメール便でも判取りをするようにと要求してきたのです。

アマゾンの要求は度を越していました。

いくら物量が多くてもうちはボランティア企業じゃない、ということでアマゾンとの取引は打ち切るという結論に達しました。

メール便というのは、受取の印鑑が必要ない定型サイズの小型の宅急便のことで、郵便受けに入れば配達完了となるのが利点ですが、アマゾン側に賃上げ交渉を頼むどころか佐川急便にメール便さえも判取りして欲しいと要求してきたを受け、佐川急便が「こりゃたまらん!」となってアマゾンから撤退したのです。

宅配業界は長い期間、ヤマト運輸と佐川急便だけでシェアの3/4を占めていて、佐川急便がアマゾンの荷物を取り扱っていた当時(2013年)、両社のシェア率はほぼ拮抗していました。当然、アマゾンにはヤマト運輸というカードが残っていたので、佐川急便に対して強気の交渉に挑んだのでしょう。結果的に、ヤマト運輸が宅配業界シェア率トップに躍り出ることとなったのですが、これが今回のヤマト問題を引き起こすジョーカーとなるとは、当時のヤマト運輸経営陣は誰も見抜けなかったということになります。

平成27年度宅配便取扱個数

では、アマゾンからの荷物が増えるとどうなるのでしょう?

普通に考えれば、宅配需要が拡大し、アマゾンを利用する客も右肩上がりなわけなので、ヤマト運輸も同時に人員を増やしていけばいいだけのことだと考えられます。しかし、フタを開ければ『過剰配達によるオーバーワーク』『残業代未払い』などの労働環境の悪化を招き、それが『宅配時間の削減』『全体的な値上げ』に繋がっているのです。

その理由としては、ヤマト運輸が配達すればするほど損をする仕組みになっているからでしょう。

たとえば、ひとつの配送に200円の利益があったとしても、再配達などをすれば非効率になって人件費もそれだけかかることになります。

『アマゾンプライム会員』の配送無料サービスが便利なアマゾンですが、それはあくまでも消費者側にとってのことで、先程の佐川急便の一件をとってみてもわかるように、アマゾン川が消費者の利便性を追求すればするほど運送会社にとっては厳しい現実が待っているのです。

ヤマトがアマゾンから撤退したらどうなる?

アマゾン物流センター

現在、ネット上では「ヤマト運輸とアマゾンのどっちが悪い?」と論争が沸き起こっており、最終的にはヤマトがアマゾンから撤退することも考えられるとも言われています。

 

でも、実際にヤマト運輸がアマゾンから撤退したらどうなるのでしょうか?

この場合、受け皿がないことになるので、アマゾンの無料配送ができなくなるというのが現実的な問題として上がってくることになるでしょう。その際、段階的に数千円以上の買い物で配送無料とか、アマゾンプライム会員のみ無料配送にするということが考えられます。

言い換えると、消費者負担という形でツケが回ってくるということですね。

もし、佐川急便に続いてヤマト運輸がアマゾンから撤退したら、アマゾンにしても利益を得るという観点から無料配送サービスを続ける意味がなくなるでしょう。

ヤマト運輸が2017年秋に全面的に配送料を値上げ宅配料の値上げについては賛否両論?

今後、アマゾンが現状のサービスの質を落とさずに、ヤマト運輸とお互いの利益ついて前向きな交渉に取り合わないことは考えにくいと思われます。

なぜなら、前回の佐川急便との交渉時のように『他に選択肢がない』からです。

では、アマゾンが佐川急便と再び取引をするということはないのでしょうか?

これに関しても、アマゾンが佐川急便と再取引をする可能性はゼロに近いと言えるでしょう。。

2016年にニュースにもなった駐車違反の身代わり出頭深刻なドライバー不足といった問題を抱えている佐川急便が、ヤマト運輸でさえ手放すようなジョーカーを受け取るとは考えられないからです。

ネット通販と宅配業界の問題

近年、ネット通販の配送は激増しており、その背中を後押ししているアマゾンプライム会員の無料配送サービスの質を下げることはアマゾンにとっては避けたいところ。

であるならば、必然的にアマゾンはヤマト運輸に頼るしかありません。

その上、ヤマト運輸としてもアマゾンなどのネット通販の割引料金の適用にも限界に達し、労働組合からは『これ以上無理!』との声が上がっています。今後、大口顧客への配送料の値上げがなければ荷受け拒否も辞さない構えとのこと。

たしかにヤマト運輸は2016年の決算で過去最高の荷物取扱数だったことに対し、営業利益が上がるどころか下がっているので、その負担を支えているドライバーからすると不満が噴出するのは無理もありません。

この条件においては、さすがにヤマト運輸の値上げ交渉も有利に働きそうですが、それがきちんとドライバーを始めとする現場スタッフたちに還元されるように願いたいところですね。

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ヤマト問題、一体何が問題なのか?

アマゾンプライム会員に入ると、配送料が無料になるだけでなく、映画やドラマが見放題になったり、音楽が聴き放題になったり、年会費3900円で驚くほど様々な恩恵が受けられるのが魅力です。

2016年のアマゾンの日本での販売額は108億ドル(約1兆2300億円)で、これは三越伊勢丹の売上高(2016年3月期)に迫る額となっていますが、それだけの商品が配送を通して消費者の元に届くと考えれば、いかにアマゾンからの宅配便が多いか容易に想像ができるでしょう。

そして、この手間をさらにややこしくしているのも、アマゾンプライム会員による『配送無料サービス&お急ぎ便』なのです。

アマゾンからの配達物

たとえば、アマゾンでプライム会員が対象の商品を購入すると、当日や翌日に急いで届けてくれるサービスを自動で受けることができるのですが、お急ぎ便のデメリットとして時間指定ができません。

元々サラリーマンが多く共働き世帯が増えつつある日本において、このようなサービスの約20%が不在による再配達となっています。これは配達ドライバーの負担だけでなく、利用者にとっても決して融通の利いたサービスとは言えず、『過剰サービス』として問題となっているのです。

冒頭で上げた通り、ヤマト運輸では『配送時間帯の削減』『配送料の全面値上げ』などで対応していますが、その他『宅配ボックスの設置』などがあらゆるところで検討されているようです。

 

ネット上ではこのヤマト問題について色々な意見があります。

  • ヤマトの運営の仕方が悪い
  • 結局、消費者の負担が増えるだけ
  • アマゾンの殿様商売をなんとかした方がいい
  • アマゾン独自の物流会社を作るしかない

などなど。

もちろんこれらは一例に過ぎませんが、結局のところ、有識者などの大筋の見方としては『配送料が安く設定され過ぎている』というのが問題の原因だと言えるでしょう。

基本的に配送料というのは販売業者が負担しているのですが、必ずしもスムーズな配送が完了するわけではないので、大口契約を結んだからといって利益ばかりが増えるものでもないとのこと。

配送料は、再配達や返品なども考慮してその料金が設定されているので、先程のように5人に1人が再配達となる現状では、販売業者はもとより運送会社や配送ドライバーへの負担の方が大きくなってしまうのです。

【関連記事】
Amazonプライム会員がお得過ぎて勝手に更新も気にならない件!

 

まとめると、ヤマト問題は、アマゾンがネット通販のシェアを拡大するために行っている無料配送サービスが、オフラインである物流に歪みを来たしたということですね。

ネット通販のようなオンラインと肉体労働を主としたオフライン。これからの時代、どうしてもこのオンラインとオフラインの不均衡による問題がたくさん出てくることになるかもしれませんね。

ちなみにNHKなどが報じている『ヤマト運輸の残業代未払い問題』については、ヤマトホールディングスは現在調査中であるとのこと。この件については今回は取り上げなかったのですが、配送ドライバーなどの労働者が損をするようなことだけはあってはならないと思っています。

ただ、アマゾンプライムの無料配送サービスは便利ですけどね(笑)

追記(2017/3/18)

続きの記事です。

⇒ヤマト運輸のブラック企業化はアマゾンが原因?ドライバーは悲鳴!

ヤマト運輸が色々な施策を講じながらも、営業利益360億円をドライバーに還元するどころか、ドライバーへの同情を持ちだして消費者に負担増を求めることになるわけですが、果たしてそれで現場のブラックな労働環境がよくなるのかどうかについては、やはり疑問が残るところです。

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2 Responses to “ヤマトがアマゾンから撤退したらどうなる?問題をわかりやすく解説”

  1. クロネコヤマトはようやく宅配物の値上げをするようですが、なんと一般顧客の配達を値上げして、Amazonの様な大口の配達の値上げ交渉はこれからなのだとか。
    宅急便は日本郵便と比べて一般顧客の宅配物は決して安くなく、むしろ値段が少し高い位です。私は最近はクロネコヤマトは全く使わず、郵便局のサービスばかり使っています。
    今すべきことはAmazonの様な大口の配達の値上げ交渉であり、小口顧客の配達の値上げではない。
    結局、クロネコヤマトの経営陣が無能だから宅配クライシスが起こっているのではないか、と思います。

  2. 違和感 より:

    元々 amazonとヤマト運輸の契約があり、それで採算が取れるからヤマト運輸はamazonと契約したのでしょ?逆から見れば荷が増えた(仕事量が増えた)からかなり儲けが出ているはずでしょう
    人がいないからとかは、ヤマト運輸の問題であってamazonの問題ではないよね。

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