老老介護・寝たきり夫に食事与えず嫁が自首する社会|大阪・高槻

老老介護イメージ

2017年5月6日、大阪府高槻市で寝たきりの夫(76)に食事を与えずに殺害したとして、この男性を介護していた奥さん(73)が殺人容疑で逮捕されたという事件がありました。

亡くなった76歳の男性は認知症で、殺人容疑で逮捕された73歳の女性はアルバイトをしながら1人きりで介護にあたっていたそうですが、いわゆる老老介護の痛ましい結末として胸が苦しくなります。

私も祖母が重度の認知症だったのですが、老老介護というのはお金があったとしても家族への負担は大きく、今回のようにアルバイトをしながら1人で介護をしながらというのは、本当に大変なことだろうと想像してしまいます。寝たきりで認知症であれば、誰からも感謝されることもなく、ただただ理不尽な時間だけが待っているのが老老介護の現状。

今回のケースは、法治国家の日本においてネグレクト(介護放棄)による殺人容疑になりますが、いろいろと世知辛い世の中になってしまったと悲しくなるばかりです。

今回はこの事件についてみていきましょう。

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寝たきり夫に食事与えず嫁が逮捕|大阪・高槻

2017年5月6日、大阪府高槻市で起きた老老介護による殺人事件。

認知症で寝たきりの夫(73)に対し、介護疲れを理由に食事を与えずに「死んでいると思う」と高槻署に自首してきたのは、これまで長年連れ添い、アルバイトをしながら1人介護を続けてきた奥さん(73)だったそうです。

夫婦はふたり暮らしで、昨年から認知症が悪化した夫の面倒を見ていたそうですが、4月下旬から数日間介護をせず食事を与えなかったことで、寝たきりだった夫が死亡したと見られています。

自首してきた奥さんは「介護に疲れて夫の面倒を4、5日見ていない」と供述したそうですが、73歳という年齢で76歳の夫の世話をする『老老介護』であることや、アルバイトをしながら1人で認知症・寝たきりの夫を見なければいけない重圧は相当大きかったことでしょう。

「夫が動かなくなってから2、3日迷っていたが、そのままにしておけないので警察に行った」と供述しているようですが、この話を聞く限り、精神的な疲弊が大きいことも見受けられます。警察が自宅に確認した時には目立った外傷もなかったそうなので、認知症の悪化した夫を献身的に世話をしていたのでしょう。

余談ですが、自宅で寝たきりだと褥瘡(床ずれ)もできやすいので、ひどい褥瘡や、やむを得ず「縛る」「抑えつける」などの虐待痕が見つかるケースもあります。

認知症には色々なパターンがあるのですが、たとえば徘徊癖があればそれを止めるのは困難ですし、なんでも口に入れる認知症の人をずっと監視するというのも無理な話です。今回亡くなった76歳の男性が寝たきりになった原因はわかりませんが(よくある例でいうと転倒による大腿骨の骨折などが考えられます)、認知症介護は寝たきりであろうとなかろうと介護する側にとっては地獄なのです。

73歳という年齢でアルバイトをしながら食いつなぎ、1人で老老介護の先の見えない未来を思うと、介護うつになることも考えられます。

今回のように「介護に疲れた」とネグレクト(介護放棄)に陥ってしまった場合、それが70歳を超えるまで連れ添ってきた夫婦で介護までしていたパートナーでも殺人容疑にかけられてしまうというのは、なんとも悲しいニュースと言わざるを得ません。

老老介護で殺人事件が起きる理由

老老介護、将来のこと

認知症を患い寝たきりになった76歳の夫の介護に疲れ、その世話を放棄してしまった73歳の妻。

介護すべき身内が介護を放棄すればネグレクトによる虐待で逮捕されることもありますし、それが原因で介護される人間が死に至れば殺人容疑で逮捕されてしまうのは当然です。

しかし、今回の事件については色々と考えさせられるところがあります。

個人的に改めて怖いなと感じたのは、夫婦のどちらかが認知症になってしまったらということ。自分が認知症になるのも怖いし、相手が認知症になるのも怖い…。仮に相手が認知症になったときに、自分も同じようになったらどうしようと不安になるかもしれない中で、相手の行動に注意を払い、食事の用意をし、トイレ介助をし、夜中に徘徊しないか気を配らなければいけないのです。

よく見かける『優雅でのんびりした老後』というのは、一部の経済的に豊かな人向けへのキャッチコピーで幻想に過ぎませんが、今回のケースのように73歳でアルバイトをしていた状況を考えると、経済的にそれほど余裕があったわけではなかったのでしょう。

高齢者夫婦がどちらかを介護する状態をいわゆる『老老介護』と呼ぶのですが、介護疲れを理由にその世話を投げ出してしまう危険性があることは、高齢社会化しつつある日本においては以前から指摘されていたことなのに、老老介護の悲惨な現実が報じられるニュースは後を絶ちません。このようなニュースが報じられる度に、もっと介護・福祉を充実して欲しいと思うのですが、日本はこれから3人に1人が高齢者になる社会への対応に間に合っていないのが現状なのです。

格差社会と言われ、その日暮らしとまではいかないまでも決して豊かになれない層が増えてきた時代に、行政に頼っても、最大限自分や家族が努力するように言われます。だからといって家族や親戚に頼ろうとしても、ババ抜きのように身内の介護を押し付け合う争いが始まり、最終的には『自分のことは自分でなんとかして』と懇願されるのが関の山です。

みんな一生懸命だし、みんな大変なのでしょう。

しかし、気を遣うような立場の人間が救われないというのは、本当に憂えるべき話です。

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認知症の老老介護は死ぬほど辛い?

73歳の妻は、認知症で寝たきりの夫が自分のせいで亡くなったことを警察に話しに行きました。

勝手な想像ですが、真面目な人だったんじゃないのかな…。生活保護に頼らず、1人で介護をしながらアルバイトをするなんて、体力がある若い人だって疲れます。

私も家族が認知症で寝たきりだったのでわかるのですが、体力的にも精神的にもかなり大きな負担がかかります。おむつ交換ひとつとっても、その中に手を入れてそこらじゅうにすり付けることもあるので、認知症で寝たきりの人の介護の場合は単純に✕2の大変さではなかったりします。それに共感できないような行動や言動も多いので、家族の変わり果てた姿に悲しみに暮れて過ごすことになるのです。

認知症は回復するものではないので介護はどんどん過酷になっていき、もしも老老介護でこのような状況に陥ってしまえば、『自分は一体何のために生きているのかわからない』という人がいたとしてもおかしくないのです。

愛する家族でも、認知症になってしまえば辛いでしょう。

老老介護であれば、長年連れ添ったどちらかがパートナーのことを忘れ、昔のような日々が帰ってくることはありません。感謝もなく、時には罵倒されることもありますから、本当に経験しなければわからない辛さや悲しみがあるのだと思います。

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今回は老老介護の果てに殺人事件としてニュースで報じられた大阪・高槻の老夫婦の話を取り上げましたが、このような問題は今後も十分に起きると考えられます。

日本に認知症が多く、アメリカに認知症が少ないというのは、簡単に薬を出す日本の医療制度に問題があるという話を聞いたことがありますが、今後の超高齢社会に向けて色々と見直すべきことは多いかもしれません。老老介護もそうですが、親が認知症になっただけでも大きく人生は変わります。決して無関心ではいられない話です。

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