仮眠時間は労働時間か?イオン系列の警備員が裁判で勝訴

仮眠時間は労働時間か、イメージ

仮眠時間は労働時間か?

この問題は度々議論されることがありますが、2017年5月17日、千葉地裁で仮眠時間が労働時間に当たるのかどうかについて、小浜浩庸裁判長は「(仮眠は)労働からの解放が保証されているとは言えない」という結論を出したことがニュースとなっていました。

これは、イオン系列の警備員が会社を相手取って起こした裁判で、原告側の請求をほぼ認める判決となったそうですが、仮眠時間は労働時間に当たるという法の裁きは、労働者にとっては良い知らせであると言えるでしょう。

普段からよく寝るタイプの私なんかは、仮眠なしの長時間労働や、仮眠で拘束される時間に一切の賃金が発生しないというのは少し異常な話のように思います。しかし現実には、長時間労働でないと回らない仕事はたくさんあります。

私の知り合いに看護師や介護士がいるのですが、夜勤だと大体16時間くらい働くと言っていました。

今回は、この問題について詳しくみていきましょう。

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イオン系列の警備員が仮眠時間の裁判で勝訴

2017年5月17日、イオン系列の警備会社『イオンディライトセキュリティ』で勤務していた男性社員(52)が、宿直中の仮眠時間が労働時間にあたると起こしていた訴訟の判決がありました。

裁判は千葉地裁で行われており、小浜浩庸裁判長は

「労働からの解放が保証されてるとは言えない」

として、イオン系列の警備会社に勤めていた男性が請求していた未払いの残業代などを、ほぼ認める形となりました。

 

男性は2011年にイオンディライトセキュリティに入社し、都内や千葉市のスーパーで警備の仕事をしてきたそうですが、2013年1月から8月までの間は24時間勤務のうち、30分の休憩時間と4時間半の仮眠時間しかなかったとのこと。

ギリギリ最低限の休憩ですが、ブラック企業そのものですね。

しかし、この最低限の休憩と仮眠時間には注目したいポイントが2つあります。

仮眠時間でも制服を脱いでいなかったこと

異常があればすぐに応対しなければならなかったこと

このような労働状況を考慮した上で、小浜裁判長は「仮眠時間や休憩時間も労働から解放されているとはいえない」と指摘し、未払いの残業代と付加金の計177万円を支払うようにイオンディライトセキュリティに命じたそうです。

夜勤の休憩・仮眠時間に賃金は発生する?

深夜の街

よくある質問で、夜勤の休憩や仮眠時間に賃金が発生するのかというものを見かけることがありますが、実際のところこの答えはどうなっているのでしょうか?

Q.労働中の仮眠や休憩は賃金が発生する?

A.仮眠や休憩に賃金が発生するかどうかについては、それが『手待ち時間』に当たるかどうかで変わってきます。つまり、使用者からの指示があればすぐに業務を実行できるように待機している場合、労働から解放されている状態ではないので賃金が発生し、そうでなければ労働時間に該当しません。

要するに、『呼び出しがあれば応対しなければならない』のであれば、それは労働時間にあたるというのが一般的な考えですが、ただし、それは待機時間の内容や状況によって判断が異なるということですね。

ひょっとすると、「これだったら私も残業代を請求できる」と考える人もいるかもしれませんが、実際にこの辺りの判断は曖昧にされることが多く、なんだかんだで雇用側に都合が良いように判断される場合がほとんどです。

なぜそうなるのかというと、経営者としては従業員の人件費はできるだけ安く抑えたいという心理が働くからでしょう。誰でもできるような仕事であればあるほど、その傾向は強くなっている状況です。

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仮眠時間は労働時間か?

仮眠時間は労働時間かどうかについては、業種や仮眠を必要とする業務内容によっても様々なので、一概に仮眠が労働時間だと言い切れないところがあります。ただ、雇用側の厳しい労働条件がこのような形ではねのけられたことは、社会的に良い影響を与えると信じたいところ。

残業においての訴訟については、着替えや作業場への移動時間なども、勤務時間外(所定労働時間外)に行ったものであれば残業とみなす過去の判例もあります。今回、イオン系列の警備会社は宿直の仮眠時間をうまく使って労働者を働かせていたというのは少々悪質と言えるでしょう。

24時間拘束の仕事については、警備会社の勤務内容として珍しくないのかもしれませんが、原告側の主張にあったように24時間拘束のうち、休憩30分と宿直(仮眠時間)4時間半だと1日19時間働いていることになります。

それが隔日の勤務だとしたら、月285時間も勤務していることになりますね(30分休憩が1回/日と仮定して)。

24-(0.5+4.5)=19時間

19時間✕15(出勤日数)=285時間

出勤日数はざっくり半分にしているのですが、実際これよりも休みが多かったか少なかったかで印象が変わりそうです。

ただ、1ヶ月の労働時間が約180時間(一般的な労働時間(週40時間)に残業時間を合わせた場合)となるので、24時間拘束の警備員というのはかなり長い労働時間をこなしていることになります。仮眠時間も制服を脱げず、何かあれば対応しなければならないとなると、精神的にも肉体的にもストレスが溜まります。

自営業や個人事業主など、自主的な労働であればある程度短い仮眠もわかるのですが、これが当たり前だとなると、言葉は悪いですが単純に労働者をこき使う奴隷社会の縮図という印象を受けてしまいますね。

イオンディライトセキュリティの求人広告には、次のような募集要項が記載されていました。

イオンディライトセキュリティの求人募集要項

ありましたね。

9:00から翌9:00というのが。

これがたった30分の休憩と4時間半の仮眠時間だとすると、やはり想像するだけできついですね。

まぁ、訴訟を起こすくらいなので、相当ツラかったのではないでしょうか?

よく仕事は『9時-5時』という言い方をしますが、実際は昼休み休憩を入れれば『9時-6時』の職場は多いですよね。でも、休憩時間も仕事待機時間というところが多いし、私もそれが理由で居眠りしてて怒られたこともあります(社会人としての常識がないというのはおいといて)。

これで残業代を請求するかと言えば、きっと誰もそんなことはしないでしょうね。

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そう言えば、介護業界での夜勤中の仮眠時間は給料が支払われるけど、小規模なグループホームなどの宿直では仮眠時間は宿直手当のみというところがあったりします。そこで給料を払えといわれたら、よほど経営手腕がよくないと赤字になってしまうでしょう。

それではやはり無理がある話なので、やはり曖昧な判断基準は致し方ないのかもしれません。

仮眠時間は労働時間かという問題は、誰がどう見てもブラックでない限りは今後も無視されていくでしょうね。

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2 Responses to “仮眠時間は労働時間か?イオン系列の警備員が裁判で勝訴”

  1. 24時間勤務の仕事で30分の休憩と4時間半の仮眠だなんて、ほんとブラック企業そのものですね。これで給料が高ければ何ら問題はないのですが、たぶん給料も安いのでしょう。
    あくまでも予想ですが夜勤も1人で対応させているのでは?きちんと休憩がとれる様にする為にも2人とか3人で現場を回すべきだと思います。人件費を削りすぎているというのが今回の原因なのでしょう。とはいえ、人件費をカットして会社の収益を上げるというのはいまの時代当たり前となってしまいました。残念な事です。

  2. 大月裕明 より:

    施設警備に従事している者です。
    ほぼ同じ勤務形態で 日勤と夜勤 am7時00〜翌日am4時00まで 宿直込みで 勤務しています。 交代勤務は無く隔日勤務です。勤務中は 基本的に昼休憩が取れず 夜間も 管理室から離れていても 会社から電話が有れば すぐ戻らなければなりません
    公的機関の警備業務なので違法な労働では無いと 考えておりましたが
    記事を見て違法だと理解しました。

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