車いす客がタラップ這い上りバニラ・エアが謝罪…クレーム前提か?

タラップを這い上がった車いす男性、木島英登さん

2017年6月5日、鹿児島県奄美大島にある奄美空港で、関空行きの便を利用した半身不随の車いすの男性が、階段式のタラップを腕の力だけで自力で這い上がらされることがあったそうです。

この時、車いすの男性が利用したのはLCC(ローコストキャリア)バニラ・エアの格安航空便で、この件についてバニラ・エアは『不快な思いをさせて申し訳なかった』と謝罪しているとのこと。

当然、航空会社が車いすの男性に、自力でタラップを這い上がらせたという事実が不快であることは言うまでもありません。ただ、この男性は大阪府豊中市のバリアフリー研究所代表であり、搭乗まで車いすであることを『あえて』伝えておらず、係りの人の制止を振り切ってタラップを上ったことについては、元々クレーム覚悟だったとして批判の声も少なくありません。

バニラ・エアのタラップを這い上がった車いす男性のニュース

今回はこのニュースを踏まえて、身体障害者へのバリアフリー・サービスの在り方について見ていきましょう。

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車いす客がタラップ這い上りバニラ・エアが謝罪

2017年6月28日、奄美空港で車いす客がタラップ(飛行機搭乗用の階段)を這い上ったこと(同月5日)について、LCCバニラ・エア(本社・成田空港)が謝罪するというニュースが朝日新聞で報じられていました。

事の概要は以下の通り。

車いすの男性(44)は6月3日から5日まで知人5人と奄美大島へ旅行。

関西国際空港では搭乗の際に、「関空では搭乗ブリッジがあるが、奄美空港ではタラップなので歩けない人は乗れない」と写真付きで説明を受け、奄美空港では同行者が車いすの男性を担いでタラップを下りる

奄美大島、車いす男性がタラップを降りたときの図

帰りの便の際、バニラ・エアから業務委託されている空港職員に「車いすを担いで下りたのは違反。歩行介助付きで階段昇降して欲しい」と説明をされるも、来た時と同じように車いすを担いで上がろうとする車いす男性。当然、空港職員に制止されたので、ついに男性は車いすを下りて腕の力だけでタラップを這い上がる手段に…。それでも空港職員がダメだと言ったそうですが、車いす男性は3~4分かけて自力でタラップを上りきった…ということです。

奄美大島、車いす男性がタラップを自力で這い上がったときの図

ANAグループのLCC事業を担うバニラ・エアは、安全面を考慮して車いすを担いだり、おんぶした状態でのタラップの上り降りは規則として認めていなかったと説明し、「(やり取りの中で)職員は見守るしかできなかった。このような搭乗はすべきではないし、本意ではなかった」と、車いすの男性に謝罪。

バニラ・エアの規則、タラップ乗降について

現在バニラ・エアでは、車いすの人でも航空便を利用できるように対応しています。

タラップを這い上がった車いす客はクレーム前提だった?

色々と突っ込みどころの多いニュースですが、タラップを這い上がった車いす客はクレーム前提だったのではないか?という意見がネットでは少なくありません。

単純に『自分は障害者だからこのような目に遭ったというクレーム』ですね。

このニュースも、車いす客に『タラップを這い上がらせた』のか、車いす客が(『勝手に)タラップを這い上がった』のかで見方が変わってくるのですが、これは後者の意味合いが強いと言えるでしょう。

朝日新聞DIGITALのニュースタイトルは『車いす客に自力でタラップ上がらせる バニラ・エア謝罪』とありましたが、内容をよく読んでみると自分の意志でタラップを上がっていることがわかります。

もちろん、車いすの男性からすると、大阪に帰るためにはタラップを上がらざるを得なかったため、『上がらせる』という表現は決して間違いではありませんが、なんとなく先入観が入ってしまうでしょう。

ただ、なぜ車いす男性が『クレーム前提』だったという批判の声が集まるのでしょうか?

まず、車いす客についてですが、この男性(44)は大阪府豊中市のバリアフリー研究所代表をしており、高校時代にラグビーの練習中に負った脊椎の損傷から半身不随になり、以来ずっと車いす生活を送っているとのこと。158ヵ国を訪れている程の旅行好きだそうで、今回、「歩けないことを理由に搭乗を拒否されることはない」との弁も残しています。

Twitter上には、彼の考えが記されたブログについての指摘もありました。

このようなところからクレーマーであるとの見方が出てきているのかもしれません。

車いす男性をクレーマーとする意見

以前、乙武洋匡氏が電動車いすでのレストラン利用を断られた時にも、乙武氏自身のかなり強気な主張によって賛否両論意見が分かれたことがありました。その時に問題視されたのが『障害者の行き過ぎた権利・主張』であり、今回の車いすの男性についても同様のことが言えます。

そのような見方をする人からすると、元々サービス削って格安航行を成り立たせているLCCを選んだところからしておかしいとなるわけですが、これはもっともな話です。たとえば、JALやANAのようなレガシーキャリアでは車いすの乗客に対して搭乗拒否することはありませんし、それは150ヵ国以上旅してきている車いすの男性自身も理解していることだと考えられるからです。

その点においては、クレーム前提で旅券を抑えたとか、障害者の行き過ぎた主張と見られても、ある意味仕方がないところもあるのでしょう。

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バリアフリー・サービスは当たり前か?

今回、車いすの男性が気に障ったのが、バニラ・エアの空港職員が『歩けないと搭乗することができない』と主張したことであり、この社内の規定が人権侵害になっているのではないかということです。

航空会社としては、事故を未然に防ぐために安全規定を厳しく定めていると考えられるのですが、それが人権侵害に当たるかどうかは難しい問題でしょう。

単純にマニュアルの整備が追いついていないだけという見方もできるからです。

車いす男性が主張したいこと車いすの男性が異を唱えたかった部分

ただ、バニラ・エアとしてはANAの格安航空事業を担っているだけあって、謝罪後は本件を踏まえた迅速な対応整備をしているので(すでに車いすでの利用が可能)、この辺りはさすがと言えます。

先程、障害者の強引な主張について話しましたが、この辺りは非常に微妙で、車いす利用が不可(あるいは曖昧)であるLCCのバニラ・エアをわざわざ利用する必要があったのかというと、ここは意見が分かれるところでしょう。

結果論として、このように世論を巻き込んだことで、車いすのLCC利用がしやすくなったことも事実としてありますし、車いすの男性がバリアフリーを推進している人物であるだけに、このような問題提起は致し方ない部分があったのかもしれません。

バニラ・エアのHPによる車いす利用の案内バニラ・エアのHPによる車いす利用の案内

車いす利用を事前に伝えたかという質問についてあえて車いす利用であることを伝えない木島さん

私の意見は抜きにしても、グローバル社会においてはバリアフリー、ノーマライゼーションが当たり前となりつつある世の中でありながら、日本ではまだまだ障害者にとっては不都合なことが多いものです。

もちろん、障害者だから我慢せよという人はごく少数とは言え、健常者の無関心さそのままでは建設的な解決も望めない社会背景もあります。正攻法でバリアフリーの重要性を訴えることは、理解を求め改善していく上で難しい部分が多く、障害者自身が遠慮していては問題が前に進まないところもあります。

以前、筋ジストロフィー症患者のボランティアをする人たちのことを綴ったノンフィクション『こんな夜更けにバナナかよ』を読んだときに、障害者は多少ムリな要求でも主張しなければならないことがあるということを知りました。

私たちが普段あまり意識しない人権という言葉も、彼らにとっては必要なもの。

障害者クレーマーについてはネットでもよく問題視されていますが、東京オリンピックやラグビーワールドカップに向けて、先進国としてグローバルな対応を求められている点においては、(言葉は悪いですが)必要悪である考え方もできなくはありません。

障害者バッシングする人についての意見

空港職員の制止を振り切ってタラップを這い上がったのは、良くも悪くもパフォーマンスとして捉えられます。

バニラ・エアは謝罪したものの、対応改善の早さでそれほど評判を落とすことはないと思われますし、車いすの男性についても、航空会社によって異なるバリアフリーの問題提起ができたことを考えれば、結果的にWin-Winだったのかもしれません。

とはいえ、そのやり方では一部の人たちからの反発も避けられないので難しいところではあるのですが、私たちの無関心や無知が社会的弱者の権利を置き去りにしてしまっている現実をみれば、このような主張も必然なのかもしれませんね。

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7 Responses to “車いす客がタラップ這い上りバニラ・エアが謝罪…クレーム前提か?”

  1. 天の声 より:

    障害者に配慮することは世界の常識、日本人の国民性を疑われる。

    • より:

      配慮した上で搭乗拒否してるのに無理やり乗るほうが悪い。
      障害者様だから何してもいいわけじゃない。

  2. 早瀬 より:

    本来、飛行機には乗れない人です。航空法では緊急時に90秒以内に乗客を脱出させる必要があります。自力で脱出できないと、通路で他人の脱出を妨げることとなり、一人の為に多数の被害者が発生します。地上の交通手段と異なり密閉空間ですので、航空機の特殊性も考慮してほしい物です。

  3. 豊田講演会のおやじ より:

    この車椅子の男性は、LCCがなぜ格安なのか解っているのか。
    車椅子に対応できる航空会社の飛行機に乗るべきである。障碍者に対する配慮は必要だが、今回のケースは障碍者の方が横暴ではないか。まるで暴力団のゆすり、たかりと一緒ではないか。

  4. ちーがーうーだーろー より:

    当初のイメージから変ってきたなあ
    なんかダイソーで買った安物に
    クレームつけてるみたいで恥ずかしい

  5.   より:

    ルールを守っている、多くの障がい者もいるのにね。

  6. 鉄ヲタ より:

    ジェットコースターの身長制限にケチつけて無理矢理乗るのと変わらない。
    安全上必要な要件で設定した規則なのに、その要件を人権侵害とか、
    馬鹿も休み休み言えと思う

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