八海山で高3生が部活合宿中に滑落死…何が問題で起きた事故なのか?

八海山

2017年7月31日午前11時ごろ、新潟県南魚沼市の八海山で、部活合宿中の男子学生が滑落し、死亡するという事故がありました。

亡くなった男子学生は、日大豊山高校(東京・文京区)の3年生で、物理部と地学部が天体観測をするための合同合宿の登山中に滑落したと見られています。

3月にも那須高原スキー場で、春山安全登山の講習中に、高校生ら数名が雪崩に巻き込まれて命を落とす大きな事故がありましたが、今回の事故も、八海山付近では登山の前日に雨が降り、当時、現場ではガスがかかり視界も良くなかったとの情報もありました。

夏山登山は天候が崩れやすく雨や雷も多いので、実は登山に不向きなシーズンでもあると言われていますが、その辺りの安全管理がしっかりとできていたのか気になるところです。

夏は自然に触れるレジャーが盛んですが、今一度、安全意識を高める意味で、八海山の事故について詳しく見ていきたいと思います。

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八海山で高3生が部活合宿中に滑落死…

八海山で高校生が滑落したというニュース

2017年7月31日、新潟県南魚沼市の八海山で部活合宿中に滑落し、心肺停止状態だった日大豊山高校(東京・文京区)3年の男子学生(17)が、1日に病院に搬送され、死亡が確認されるというニュースが報じられていました。死因は頭部外傷と骨盤骨折とのこと。

日大豊山高校では2004年から毎年、八海山での登山合宿を行っており、今回は30日から2泊3日の日程で、『地学部』『物理部』が天体観測を目的とした合同合宿が行われていました。

事故が起きた31日は、親睦と地層の観察を目的とした日帰り登山で、17人(部員14人、引率の先生1人、OB2人)が参加。始めのうちは一列で登っていたそうですが、歩く速さから途中で隊列が崩れ、事故が起きた午前11時ごろ、滑落した男子生徒は後ろから2番目にいたそうです。(最後尾はOBの大学院生)

八海山の登山コース難易度モデルはCのチャレンジコースと見られる

八海山は標高1,778メートル。9合目から頂上までの登山がかなりの上級コースとなっているため、危険な山という印象がありますが、地元の人の話によると、その場所以外はそれほど危険ではないとのこと。

ただ、事故が起きた場所は、6合目付近の女人堂と呼ばれる地点の手前、標高1,370メートル辺り。十数メートルほどの少し急な岩場になっており、男子学生が尾根から約80メートル下の岩場に滑落したことを考えれば、まったく危険性がない場所とは言えないでしょう。

この日は9合目にある山小屋を目指す、比較的安全と認識された日帰り登山コースだったようですが、八海山ロープウェーのホームページによると、後半には「急な登りもある」と記されていました。事故はそこに至るまでに起こってしまったので何とも言えませんが、なんにせよ学校の部活合宿中であったとなれば、安全管理に問題がなかったか問われることになるでしょう。

八海山、女人堂の避難小屋八海山6合目・女人堂の避難小屋

高3生の滑落事故は何が問題で起きた事故なのか?

八海山で起きた部活合宿中の滑落事故は、一体どうして起きたのでしょうか?

山を甘く見てはいけないという話は誰もが耳にしたことがあると思いますが、今回の事故当時の状況についても、学生たちの軽装や引率の不十分さ、気候条件の問題などが指摘されています。

まずは、コンディション(気候)の問題。

登山前日の八海山付近では雨が降っており、登山時もガスがかかり視界が悪かったことが挙げられます。これは男子生徒が滑落し発見された後、ヘリでの搬送をで諦めざるを得なかったことからも明らかです。

男子生徒発見のニュース天候を考慮して病院搬送は翌日になった

夏山登山は気候条件が急変するので、実はあまり登山に向いていないと言われています。

夏は気温の上昇により、高所での気候が変わりやすいので、急な雨が降ったり、ガスで視界が遮られた時、一歩間違えれば遭難や滑落する恐れがあります。また、日差しのある時とない時の寒暖の差が激しく、うっかり軽装でやってきて、怪我をしたり体調を崩すというのも、夏の登山特有の失敗です。

下界が猛暑・酷暑で騒ぐ季節ほど、山岳部の気候は変わりやすいので、夏山登山はこの辺りの判断が難しいと言われているのです。

そして、次に気になったのが、学生たちが軽装だったことです。

今回、合同合宿で行われた日帰り登山では、学生たちはTシャツ、ひざ丈ほどのズボン、スニーカーという軽装だったそうです。彼らが学校の登山部ではなく『地学部』や『物理部』に所属していたことは、この事故で見落としそうなのポイントです。

八海山は鎖場(岩場などで鎖が備えられている場所)が多いことを考えれば、スニーカーでの登山は不可能でないにしても、登山としては完全に不向きです。少なくともトレッキングシューズなど、ソールがゴツゴツしたものでなければ、滑って転倒するリスクが高くなるのは当然です。

それに加え、雨上がり後や視界不良などコンディションが悪ければ、さらに危険性は高くなるでしょう。

私も数年前、キャンプ先から出来心でスニーカー登山をしてえらい目にあったことを思い出しましたが、スニーカーだと、特に下山時に足の踏ん張りが効かないので危険です。八海山に比べて鎖場もほとんどない山(伊吹山1,377メートル)でしたが、スニーカー登山が如何に危険かはその時に思い知ったものです。

高校生たちが目指していた千本檜小屋高校生たちが目指していた9合目の千本檜小屋

今回、八海山の日帰り登山をしていたのは日大豊山高校の登山部ではなく、地学部や物理部といった文化系なので、このような軽装になるのはある意味仕方がないのかもしれません。しかし、八海山は鎖場も多く、実際に事故のあった場所もやや急な岩場だったそうなので、はたしてその軽装での登山が正解だったのかどうか疑問を抱いてしまいます。

これは、引率する部分でカバーできたのかもしれませんが、生徒14人に対して、引率の男性教師1人とOBが2人というのは荷が重すぎたのではないでしょうか?

先ほども指摘したように、彼らは文化部であり、山登りに関しては素人である可能性が高く、その場合、プロのガイドでも素人14人の安全管理は難しいと考えられるからです。仮に引率の教師が登山経験豊富だとしても、OBの見守りでは引率の不備を補うことは期待できないでしょう。

以上の点から、学校管轄の部活合宿としては、八海山に登るのはリスクが高かったのではないかと考えられます。

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八海山の部活合宿は何が問題だった?

八海山で起きた高校3年男子生徒の滑落死は、学校行事の管轄であったことから、自己責任とは言えないところが問題です。

学校の部活動の一環として登山を計画し、教師が引率していたのであれば、生徒を無事に家に送り届けるのが絶対条件。今回の件であれば、どこかで計画を中止するという選択肢があったはずですし、その権利を教師が握っていると考えれば、安全意識の低さやどこかに慢心がなかったか、はっきりと説明して欲しいところです。

今年の3月に那須高原で起きた、高校生たちの春山登山講習の雪崩事故もそうですが、教師の過信で生徒が事故に巻き込まれたとなれば、親からするとたまったものではありません。大人がしっかりしてないばっかりに、子供が命を落とすのは無念です。誰がどう責任をとろうが、子供が帰ってくることはないのですから。

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人災とまでは言いませんが、生徒たちが軽装で八海山に登っていたことや、滑落した男子生徒が後ろから二番目だったことを考えれば、本当に教師1人だけで生徒たちを引率できていたのか疑問が残ります。

もちろん、今、部活動が教師への不当な負担になっていることも問題になっています。今や学校の部活動が先生たちにとってサービス残業とも言われているので、それを考えれば、教師だけを責められる話ではないかもしれません。

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当然、山でも川でもどこにでも危険はあります。ただ、学校行事だから安心と、親が子供を見送ることを考えれば、今回の滑落事故は本当に防ぎようがなかったのかと悔やむに悔めません。

結果的に無理なことをさせていなかったか、そこだけが気になります…。

亡くなった日大豊山高校3年男子生徒のご冥福をお祈りします。

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