ブラック部活で顧問6割が過労死ライン!ブラック過ぎる学校の実態

ブラック部活、顧問教師の悲鳴

昨今、学校部活のブラックな実態が問題視されていますが、部活動顧問が原因で中学校教員の約6割が、過労死ラインを超える長時間労働を余儀なくされているそうです。

2017年4月末に文部科学省が公表した2016年度のデータによると、中学校教諭の1.7人に1人、小学校教諭の3人に1人が、月80時間以上の残業(過労死ライン)を強いられているそうですが、子供を教育する学校でこのようなブラック企業さながらの実態であることは大きな問題ではないでしょうか?

もちろん、部活動に喜びを感じる殊勝な顧問教師もいるとは思いますが、巷で使われている『ブラック部活』という言葉が表すとおり、それを望んでいない顧問教師も一定数存在するはたしかです。問題なのは、教師が不幸だとそれが子供にも連鎖する心配が生まれるということ。

教員勤務実態調査、過労死ラインの恐れ

今回は、部活動が顧問教師に及ぼすブラック過ぎる学校の実態について、どのような解決策が求められているのか詳しくみていきたいと思います。

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ブラック部活で顧問6割が過労死ライン!

現在、約6割の中学校教諭が過労死ラインを超える長時間労働を行っていることが、2016年度の『教員勤務実態調査(速報値)』で明らかとなりました。

その最たる原因として挙げられるのが部活動・クラブ活動顧問としての仕事で、いまや中学校の教員たちの間で部活動は、『ブラック部活』としてブラック企業同様のサービス残業を強いられる存在となっているようです。

授業や成績処理、生徒指導、部活動、会議、保護者対応などにかかる時間を個別に表した『業務内容別の勤務時間』では、中学校においては10年前と比べて『土日の部活動・クラブ活動』の時間がかなり長くなっています。

中学校香油の土日の部活動・クラブ活動中学校教諭の1日あたりの土日学内勤務時間の内訳(時間:分)

さらに、中学校教諭の土日勤務時間をみてみると、土曜日が勤務日に該当する教師(土曜授業等)の回答を除いても、10年前と比べて倍近く勤務時間が増えていることがわかります。

中学校教諭1日あたりの勤務時間の時系列変化中学校教諭の1日あたりの土日学内勤務時間・年齢階層別変化(時間:分)

近年の中学校教諭の勤務時間が明らかに増加している背景には、クラブ活動・部活動顧問としての勤務が重い負担としてのしかかっているのでしょう。

本来、部活動は放課後に行われる自主的・自発的な活動であり、教員の業務外活動と考えなれていました。それがなぜ教員たちの労働時間を圧迫し、『ブラック部活』として揶揄されるようになってしまったのでしょうか?

部活動の定義

そもそも部活動は、生徒や保護者から学校教育の一環として見られており、元々、教員の労働時間に算定されていないものが、あたかも『すべきもの』であると勘違いされてしまっていることが大きな問題なのです。これは長年培われてしまった学校における共通の意識であり、部活動が与える生徒たちの将来的な影響を考えれば、クラブ活動への比重が重くなってくるのは当然のことかもしれません。

しかし、公立学校教員の労働時間は週38時間45分と定められている中で、中学校教諭の約6割が過労死ラインに相当する週20時間以上の残業を行っている実態が明らかにされたことについては、やはり異常事態と言わざるを得ません。そして、それに対して明確な対策が示されていないのが、教育現場における現状なのです。

学校のブラック過ぎる実態は部活にあり?

ブラック企業さながらの教師の1日運動顧問の一日[神原楓先生(@wakateowl)作成の図を転載]

学校教員の勤務実態については、『ブラック企業以上にブラック』だと言われることがあります。

もちろん、中学校教諭の労働時間を長引かせているのは部活動・クラブ活動だけではありません。授業の準備やテストの作成、成績処理、その他すべきことは多岐にわたっています。ほとんどの教師が持ち帰りの仕事をしているという前提で、残業や休日出勤も避けられないとのこと。

たとえば、セキュリティの問題上、学校のパソコンでしかできない業務や部活動顧問としての指導など、必然的に土日も学校に出勤せざるを得ないことから、昨今の勤務時間増加が数字として表されているのでしょう。そして、教員が求められる業務は、この先もジワジワと増え続けていくと予測されています。

このようなブラック過ぎる学校の実態については、世間の理解が追いついておらず、まだまだ教員による『やりがい』だけに頼っているのが現状。

特にこの『やりがい』の比重が重くのしかかっているのが『部活動』であり、教員顧問たちからは『ブラック部活』とさえ言われるようになっています。過労死ラインを超える部活動による教員の残業労働は黙殺され、『やりがい』という得体の知れないものでその対価を有耶無耶にしているところは、正にブラック企業そのものと言ってもいいでしょう。

部活動と長時間労働の関係アンケート

ただ、上記のようなアンケート調査結果がありつつも、意外なことにブラック部活に対する負担軽減を求める教員からの声は少ないそうです。

 

そうなの???

「それだったら何も問題にすることないじゃん」と思う人もいると思います。

しかし、教育社会学に詳しい名古屋大学の内田良准教授の言葉を借りると、教師たちの間には次のような事情があると言います。

“子どものために自分の時間を割いてこそ先生。部活を指導してこそ一人前”という文化が根強いからです。これは信仰と言っていいほど強烈です。最近は職種を問わず、日本全体の問題として働き方が議論されていますが、職員室に限っては無風状態。もし教員が疑問の声を上げたら、“あいつは教師失格”とのレッテルを貼られかねないのが実情です

引用元:週刊女性PRIME

『国民による総監視社会』の象徴とも言えそうな現象が、学校教員の間で巻き起こっているようです。誰もが疑心暗鬼になり、出る杭を打ち合う社会の縮図と言っても過言ではないかもしれません。

不満があったとしても教師たちがそれを黙殺している背景には、いわゆる『大人の事情』が隠れているということですが、厚生労働省が定める過労死ラインを超える教師が過半数である状況を考えれば、結局、そのしわ寄せは子供に向かうのではないでしょうか?

世界的にも日本人教師は働きすぎというデータ教師の労働時間は日本が世界ワースト1位

実際、過労死ラインを超える残業が蔓延しているにもかかわらず、その負の連鎖が止まる気配が一向に感じられないのは、教員たちが抱えている勤務時間を管理するのが困難というのが理由だそうで、これは学校外の活動や、春・夏・冬にある長期の学校休業が一因とされています。未だにこの辺りの労務管理はどんぶり勘定となっていて、文科省の調査によると、教員の勤務時間をタイムカードなどで記録しているのは小中学校でも1割程度。労働の長時間化はある意味必然と言えるでしょう。

しかし、『子供のために』と考えて長時間労働を問題視していない教員もいます

正に教師の鏡であり、聖職者といえる人たちのおかげで、いまはまだ『やりがい』でなんとかなっているところもあるようです。彼らにとってすれば、ブラック部活と言われる部活動顧問を引き受けていたとしても、それは内田良准教授の言葉のとおり『子どものために自分の時間を割いてこそ』という心があるので、疲れていても精神的なストレスは感じていないとのこと。

中学校の部活動イメージ

比較的自由度のきく部活動では、やる気のある顧問が練習時間を増やすことで、それに比例して試合に勝つことも増えてきます。そうすると、他の学校から練習試合に呼ばれる機会が増え、ますます土日が潰れることになります。

部活動問題に詳しい学習院大学の長沼豊教授は次のよう話しています。

自由な活動であるがゆえに肥大化してきた。より強く、よりうまくと、過剰な練習が一般化していった

引用元:週刊東洋経済

真夏の甲子園を目指す高校野球などが顕著ですが、このように部活動が重要視されることが、中学レベルの部活動でも起きるようになっています。

ただ、結果として、それを望んでいない顧問たちから『ブラック部活』として問題視する声が大きくなってしまったのでしょう。このように長時間労働によるストレスを抱えた顧問教師が増えてくると、最終的に子供たち学ぶべき大切なことが置き去りにされてしまうと指摘する声もあります。

一般的に見れば、無給奉仕活動である部活動顧問は『ブラック』ですが、子供たちのことを思えば賛否両論意見が分かれるところでしょう。しかし、中学校教諭の約6割が過労死ラインの残業時間をこなしていることを考えると、やはり無視できない問題になってきたことはたしかです。

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ブラック部活で顧問が過労死する前に

月80時間以上の残業時間というのは、要するに過労死してもおかしくないくらい働きすぎということ。

ブラック部活による半強制的な労働時間に余裕を与えなければ、今後、ブラック部活顧問が過労で倒れるといった事故が起きる可能性も少なくありません

基本的に学校の先生の優先順位は『授業>部活』となっていますが、「授業はやって当たり前。部活動しないのは手抜き」というのが学校における優先順位の実態なんだそうです。つまり、授業をするのは当たり前なんだから、それを理由に部活動に参加しないのは通らないということですね。

ブラック部活に対するスポーツ庁の見解しかし現場では無言の圧力がかかるという…

私の家の近くの中学校ではバスケ部が強く、知り合いの子供がレギュラーということもあり、時々、公式試合を観に行くことがありますが、毎回熱心に保護者の人たちが応援しにきています。ある意味、勝利至上主義になっているので、親からの期待も大きく、顧問の先生からすると部活動に手を抜くことはできないでしょう。

先ほどの例で言うと、このバスケ部顧問の先生は『やりがい』を持っているタイプです。

しかし、皆が皆そうではありませんし、やりがいがあろうがなかろうが、9割近くの教師が原則部活動顧問を引き受けるという現実があります(平成28年度スポーツ庁調査)。当然、その中に大きなストレスを抱えている顧問教師がいたとしてもおかしくはないでしょう。

では一体、ブラック部活と言われるほど、顧問たちの長時間労働の温床となっている部活動をどう解決に持っていけばいいのでしょうか?

その鍵となっているのが、教育社会学に詳しく部活動問題に対する警鐘を鳴らし続けている名古屋大学の内田良准教授が提案している『部活動時間の総量規制』の実施です。

内田良准教授のインタビューを少し引用してみましょう。

僕が言っているのは総量規制をもうけること。週3日ぐらいのかなり緩い、大人の草野球のようなものにしましょうということだ。

今は全国大会が頂点にあって、その最底辺を部活動が支えているという構造が問題だ。頂点を目指すのは民間のクラブチームなどに任せればいい。エリートは学校ではなく民間で育てる。実際、水泳も卓球も体操もメダリストは民間のクラブチームが出身だ。

部活動は本来、20代、30代、60代になっても続けられるような趣味としてのスポーツや文化活動につなげていく、その土台を作るものだ。全国大会に行かなくても、近所で数ヶ月に1回試合をして、勝っても負けても「楽しかった」といえる設計が必要だと思う

引用元:週刊東洋経済

非常に良いアイデアです。

そもそも部活動のブラック化は、勝利至上主義によるインフレが起こしたネガティブな部分によるところが大きく、その影響でブラック部活を辞められなくて悩む生徒や顧問が後を絶たないのです。求めるものの基準が高くなったことで歪みを生じさせ、この先その亀裂がどんどん深くなっていくことは明白なので、『総量規制案』のようにどこかでストップをかける勇気が必要です。

ブラック部活、吹奏楽部吹奏楽部もよくブラック部活として名前が挙がる

子供に期待をかけることが悪いとは思いませんが、レギュラーになれる子供とレギュラーになれなかった子供とでは、同じ部活を3年間続けたとしても得るものが異なります。その場合、自信を得られる子供よりも、自信を損なう子供の方が多くなることも考えられ、その傾向は年々強くなっていくと予想されます。

もちろん、部活時間の総量規制を行うと、部活で頂点を目指すことが難しくなるので、この辺りは賛否両論意見が分かれそうです。しかし、これは学業における『塾』の利用に置き換えれば、話は単純なのかもしれません。

このことについて、内田良准教授のインタビューを引用してみましょう。

必要最低限のものは提供するが、よりよいサービスを受けるにはおカネを払いましょうというのが、公共サービスの一般的なあり方だ。ただ外部の民間クラブがもっと発展して競争が激しくなれば、ある程度コストの面でも抑制が利くシステムが出来上がるかもしれない。

部活動の最大の問題は教員のタダ働きで成り立っていると同時に、外部化しようにも予算がないからできない点。総量規制を主張するのは、活動時間を少なくすることによって、外部に委託しやすくなるのではという考えもある。

総量規制は明日からでも導入できる。予算は1円もかからない。あとは勝ちに対するこだわりを捨てられるか。仲間との絆は週3日でも作れる。そういった意識改革が必要だ。

今の学校スポーツの悪いところは、勝つために週7日やるというスポ根の発想だ。しかも勝つというわりにはスポーツ科学の知識はなく、自分の受けてきた指導をそのまま繰り返す

引用元:週刊東洋経済

『勝つために週7日やるというスポ根的発想』は、言わばブラック企業の考え方そのままではないでしょうか。さらに『勝つためのスポーツの知識はなく…』という指摘もありましたが、これは今後においても生徒を危険に晒す事故を引き起こす要因にもなりかねないので注意が必要です。

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実際、運動部においては顧問の半分以上がその分野に詳しくないという調査結果もあります。その上、中学校教諭の約6割が過労死ラインを超えている学校の実態を考えれば、顧問教師だけでなく、生徒にとっても部活動がブラックになってしまうでしょう。

そして、ブラック部活で顧問教師に余裕がなくなれば、そのしわ寄せはいつか子供にいくかもしれません。

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